安倍元首相暗殺後に流布された"山上家物語" どこが正しく、どこが違っていたか
安倍晋三元首相暗殺事件が発生したのが2022年7月8日。それから3年余りを経てようやく山上徹也被告の刑事裁判が奈良地方裁判所で始まり、今週結審しました。筆者は10月28日の初公判以来、奈良に足を運び、15回のうち13回の裁判を傍聴してきました。
この衝撃的な事件は、発生直後から週刊誌などを通じて、山上被告の一家が「統一教会」(現・世界平和統一家庭連合)に財産を根こそぎ奪われ、家族が崩壊したというナラティブ(物語)が繰り返し流されてきました。
その情報源は捜査関係者のものもありましたが、山上被告の伯父(山上被告の父の兄、元弁護士)の証言も少なくありませんでした。
実は、山上被告はこの裁判で「報道の中には不正確なものですとか、違うんじゃないかと思うものもありました」と語っていました(12月4日、第14回公判)。裁判が終わると、自分のイメージについて「違った人間」に見えるでしょうとも言い、差し入れられた支援金を求められれば返金する意向も示しました。「不正確な報道」が具体的に何なのかは明らかにされませんでしたが、裁判の証拠調べで明らかになった事実と、これまでの報道には明らかに食い違っているものがいくつもありました。
このニュースレターでは、それを細かく検証していきます。1回目は、逮捕直後に出た「週刊文春」の最初の記事を検証します。(以下、山上被告は「山上」と表記します)
週刊文春電子版(2022年7月13日配信、14日発売号に掲載された記事。現在は削除されている)
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