【参院選】昭和・平成の党が退潮、令和の党が伸長。過半数割れでも政権交代が起きないわけ
参議院議員選挙の投開票が7月20日に行われ、政権与党の自民・公明両党の敗北が伝えられました。1999年に自公連立政権ができてから約四半世紀、衆議院・参議院ともに少数与党になるのは初めてのことです。
この結果は今後の日本の政治、社会にどのようなインパクトをもたらすのでしょうか。そもそも与党が過半数割れになったのに、なぜ「政権交代」は起きないのでしょうか。
今回の選挙結果は、一言で言い表せば「オールド政党の敗北・ニュー政党の躍進」でした。ファクトとデータを示して解説します。その上で、憲法上の仕組み・制度も踏まえ、「政権交代」が起きるための重要な条件と、今後のシナリオについて展望します。
自民党は大敗? だが、過去最悪ではなかった
参議院議員の選挙は3年に1度、半数ごとに改選が行われます。定数248人、任期は6年。今回は2019年に当選した議員(124人)の任期満了に伴う改選(と任期途中退任した議員の補欠選挙)が行われました。
自民党の改選議席は52。今回の選挙の結果、獲得できたのは39(選挙区27+比例12)。つまり、マイナス13議席です。非改選と合わせ、自民の新勢力は101議席となりました。
自民党にとって大きな議席減であることは間違いありませんが、過去最悪の結果だったわけではありません。もっと悪い結果だった時がありました。2007年参院選(第一次安倍政権)です。
違いをまとめると、次のとおりです。

筆者作成
比較第2党に転落した2007年とは違い、今回は比較第一党を維持しています。普通なら大幅議席減の責任をとるべきという議論は当然出てくると思われますが、石破茂首相は早々に「比較第一党」であることを強調して続投に意欲を見せています。
開票日翌日の新聞各紙の一面見出しも、「敗北」や「大敗」という言葉を使った新聞と、そうは言わず「大幅減」という言葉を使った新聞にわかれました。
・自公敗北 政権苦境 / 参政躍進、国民参政大幅増【読売新聞】
・自公議席大幅減 / 立憲横ばい 国民・参政大幅増【朝日新聞】
・自公議席大幅減 / 国民・参政躍進 立憲伸びず【毎日新聞】
・自公議席大幅減 / 参政躍進、国民も伸長【産経新聞】
・自公大敗 過半数割れ / 参院も少数与党 国民民主・参政が躍進 立憲伸びず【日本経済新聞】
この選挙結果を「自民党の敗北」と捉えるかどうかは、視点の違いによる解釈の問題です。
「野党全体との関係」あるいは自ら設定した勝敗ラインにおいては(与党過半数を維持できなかったので)敗北したと言えるでしょうが、「(野党第一党)立憲民主党との関係」においては敗北していないと言っても間違いではないのです。
このあとの主な内容です。
▼ 立憲民主党はある指標で野党第三党に?
▼ オールド政党の退潮、ニュー政党の伸長
▼ 比例でダントツで得票を得た候補者は誰?
▼ 過半数割れで「政権交代」?そうはならない理由
▼ 「改憲勢力が3分の2」で憲法改正が進む?そうはならない理由
▼ 今後のシナリオと注目点
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