「オミクロンになっても弱毒化していない」は本当か? 未接種者の致死率で検証する
「オミクロンになっても弱毒化していない」ーこんな言説がネット上で拡散しています。「致死率の低下はワクチン接種の効果。未接種者にとって重症化リスクは従来株と変わらない」というのです。主にワクチンを強く推奨する医師等が唱えているようです。一見そうなのかもしれないとも思えますが、本当でしょうか。
これを検証するために、ワクチン未接種者の重症化率や致死率を、従来株が流行していた時期とオミクロン流行後とで比較できないか。
調べてみたところ、第7波における未接種者の重症化率・致死率のデータが見つかりました。大阪府が接種歴別のデータを出していたのです。これを使ってさっそく検証してみました。
大阪府が公表していた接種歴別データ
まず、大阪府の接種回数別のデータを紹介します。
これは、今年の第7波、6月25日〜8月21日の新規陽性者767,228人を接種歴ごとに分類し、重症化率・致死率を算出したものです。9月14日の大阪府新型コロナウイルス感染症対策本部会議の資料にありました。
(8月22日以降の陽性者について同様に分類・集計した資料は、現時点で確認できませんでした。もし見つかった場合はデータを更新します)
大阪府新型コロナウイルス感染症対策本部(2022年9月14日)の配布資料より
数字がたくさん並んでいるので、この中から、重症化リスクが高いとされる60代以上の高齢者のデータ(資料の赤い囲み部分)だけ取り出してみます(なお、こうした公表された「死者数」は、すべて新型コロナが死因というわけではなく、それ以外の死因も一定数含まれています)。
接種回数別に重症化率・致死率をまとめると、次のとおりです。
大阪府の資料をもとに筆者作成
これをみると、接種回数が多い方が重症化率・致死率が低いことが見て取れます。ワクチンの重症化予防効果が表れていると考えられます。
第3波以前のデータと比較
次に、オミクロン流行以前のデータを確認します。
同じ大阪府の資料に、第1波以来の年代別重症化率、致死率のデータが掲載されています。
ここから、ワクチン接種が始まる前の、第3波(2020年10月〜2021年2月)以前の60代以上のデータだけ取り出します。
そして、先ほどの第7波における60代以上の未接種者のデータと比較すると、次のようになりました。