ノーベル平和賞 在京6紙を読み比べ分析 総選挙への影響は
広島・長崎の原爆の被爆者らでつくる「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)のノーベル平和賞受賞というニュースが日本中を駆けめぐりました。
日本のノーベル平和賞受賞は、1974年の佐藤栄作首相以来50年ぶり、という歴史的なニュース。10月11日午後6時ごろ(日本時間)に授賞の発表があったので、新聞社が翌日朝刊に向けて残された時間はわずかでした。どの社もヨーイ・ドンで一斉に、取材や紙面づくりに取りかかったとみられます。
主要6紙の朝刊をみると、いずれも1面トップで大きく報じ、社説でも取り上げていました。ただ、「報道姿勢の違い」もくっきりと浮き彫りになりました。総選挙(10月27日投開票)に向けて、これまで注目されてこなかったある争点が、にわかに浮上してきそうです。「核兵器禁止条約」をめぐる対応です。
各社報道の特徴とともに、今回のニュースが総選挙に与える影響や注目点について解説します。
6社とも一面トップだが、扱いに違い
分析の対象としたのは、読売新聞、朝日新聞、日経新聞、毎日新聞、産経新聞、東京新聞の10月12日朝刊(東京本社版)です。
まず、新聞の顔ともいえる一面から(下の画像参照)。
ノーベル平和賞受賞を報じた新聞の10月12日付朝刊一面。上段左から読売、朝日、日経。下段左から順に毎日、産経、東京。
いずれも「核なき世界」「核廃絶」というキーワードで、被爆者らの積年の訴えについて報じていました。今回受賞した日本被団協は1956年に広島・長崎の被爆者らが結成し、被害補償や核廃絶を訴えている全国組織です。
6紙とも、被団協理事長、箕牧(みまき)さん=3歳の時に広島で被爆=の受賞直後の写真を使っていました。最も大きなサイズで載せたのは毎日新聞。「うそでしょ」とほおをつねっているシーンを使っていました。
同じ一面トップでも、扱い(記事量)の違いがありました。(A)一面全体をこのニュースだけで埋めていたか、(B)一面に他のニュースも載せていたのか、の違いです。
(A)タイプが朝日、毎日、東京、(B)タイプが読売、日経、産経でした。
(A)の3紙は、論説記事(社説とは別)も一面に掲載していました。
【朝日】高まる各リスクに警鐘
【毎日】「過ち繰り返さぬ」共有を
【東京】核廃絶へ 政府 姿勢改める時
なお、読売は(B)タイプですが、ノーベル賞委員会委員長のインタビューを一面に載せていました(デジタル版)。授賞発表直後にもかかわらず取材に成功させたことは、特筆に値します。
このあとは、次のような内容で解説します。
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各社報道を読み比べ、浮き彫りになった「扱いの違い」とは?
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受賞後の社説で取り上げられた「核兵器禁止条約」とは?なぜこれが争点になるのか?
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核兵器禁止条約への対応については3つの立場があるが、どのような違いがあるのか?
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