「いつまで子どもにマスクを…」コロナ禍の真っ只中でも全ての人に耳を傾けてほしい小児科医の訴え

「10年後、20年後、この抑圧された状態で育った子どもたちが大人になった時にどうなるのか」と教育環境に強い懸念を表明した小児科医の発言を紹介する。
楊井人文 2022.02.16
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10年後、20年後、この抑圧された状態で育った子どもたちが大人になった時にどうなるのか」ーーオミクロン株の感染拡大が真っ只中、まん延防止等重点措置の拡大・延長など「感染抑制」ばかりが強調される中で、東京都医師会の記者会見が2月8日に行われました。

そこで、小児科医で医師会理事の川上一恵さんがコロナ禍における子どもの教育環境の危機的状況について、強い懸念を表明されました。

例によって、大手メディアはほとんど取り上げていませんでしたが、非常に重要な発言が多く含まれていましたので、目に止まった発言をいくつか紹介したいと思います。

…学校では様々な行事が中止されています。もうこの2年修学旅行も行っていない、運動会も行っていない、文化祭もやっていないというような学校や保育園が多発しています。

高校生、中学生ですと、3年しかいかない学校で2年間行事が全くない状態で過ごしていることになっています。

また、乳幼児、それから学校でもそうですけどマスクをしているために友達の顔を全く分かっていません。

人の表情を見て人の心を読んで行動するというような、本来小児期に学ぶべきことができていない子どもが増えてきています。

 これまで行事を中止にしたり縮小したりする対応が、本当に「必要不可避」なことなのかどうか、大人たちは考え抜いてきたでしょうか。

 一方で、テレビ放送、映画やドラマ撮影、記者会見などの場で、マスクを外して話をしている大人たち(中高年者も含めて)の様子を、子どもたちは日常的に見ています。

 子どもたちは大人の言われるがまま、大人以上に、選択肢がない「事実上の強制」状態に置かれているのです。

 子どもの重症化・死亡リスクは極めて低いことは広く知られていますが、実際の数字をメディアがきちんと報道しているのも、見たことがありません。

 ご存知ない方のために、例えば、以下のようなデータを一つ紹介しておきます。

 こうした中で、いま保育園でもマスク着用を求める動きが出てきました。ついに、全国知事会は「家庭でもマスクを」と言い出しました(TBS報道)。

 子どものマスクについては改めて機会があれば取り上げますが、ここでは川上さんが記者会見の後の囲み取材で発言した内容を紹介しておきましょう。

2歳にマスクなんてとんでもないこと。大人を守るために子どもが犠牲になるというのが国の考え方。
子どものためにちゃんと声を上げていかないと。


・・・(幼児のマスク着用について)マスクをすると息苦しさを感じるのは、気道に圧がかかり十分な酸素が取り込めていないから。
子どもは運動量も多く、心肺機能への負担が大きい。子どもは簡単に吐いてしまうので、マスクの中で吐いてちっ息する可能性もある。

川上さんは、これから5〜11歳への「接種勧奨」が行われる子どものワクチンについても触れていましたが、これについていったん言及すると長くなりそうなので(笑)、詳しくは別の機会に述べることにします。

コロナ禍における子どもの変化については、次のように強い危惧を表明されました。

子供は2ヶ月3ヶ月家に閉じ込めただけで体力運動能力が低下してすぐ座り込んでしまうとか、学校を再開された時に転びやすくなり顔に怪我をする子が増えました。

それから視力が低下しているというデータは上がってきています。

さらにこういった状況、大人も私たち大人ですらいつになったらこの状況は終わるんだと思いながら生活している、子どもたちはその状況すらよくわからないで生活している分、鬱っぽくなったり、やる気のない子が増えたり、それからすぐちょっとしたことで聞いて感情がコントロールできなくなるような子供が出たり、中学生高校生ぐらいになると自殺する子もここに来てぐっと増えています。

そして、学校現場の対応にも、苦言を呈していました。

十把一絡げに、教室で歌を歌ってはいけない、リコーダーを吹いてはいけない、調理実習もやらない方がいい、っていうのはちょっと違うんじゃないかなっていう気がします。

・・・学校、特に公教育、公立の小中学校というものは、親の経済状態とかに関係なく、すべての子どもが通える場です。

ですから、そこをいかに子どもたちを心身ともに豊かな子どもとして育っていく場にするかということは、やはり私たちは経済を回すのと同時に子供の教育もしっかり回すということをそろそろ考えないと、10年後、20年後この抑圧された状態で育った子どもたちが大人になった時にどういう社会人になるかということも、ある程度考えておかないといけないのではないかということを危惧しているところです。

私にも公立小学校に通う小学5年生の娘がいます。

学校生活で子どもたちが最も楽しみにしていた行事である修学旅行(小5・6年生が対象)がコロナ禍以後ずっと中止になっています。

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