大手メディアが報じない新型コロナをめぐるデータの数々 その情報源の確認の仕方

コロナ禍で公開された情報の中には、ほとんど報道されないデータや事実が数多くある。そのうち「致死率・重症化率の大幅な低下」「超過死亡の増加」「ワクチン健康被害認定件数の増加」についてのデータと情報源を整理しながら紹介する。
楊井人文 2022.11.01
読者限定

ワクチン接種に対する意識を含む多くの質問項目があり、興味のある方は発表資料を確認していただければと思いますが、私が注目したのは「他者との交流」に関する行動自粛に関する回答結果です。

● 次の行動を「ひかえる」ことについて「いつも気をつけている」「まあ気をつけている」と回答した割合の合計(カッコは逆に「あまりあてはまらない」「あてはまらない」と回答した割合の合計)
 ・同居家族以外との食事:67.9% (28.9%)
 ・イベント等への参加:71.3%(26.0%)

● 今冬に次の行動を「増やす」ことについて「あてはまる」「まああてはまる」と回答した割合の合計(カッコ内は同上)
 ・外食や会食の機会:28.6%(63.1%)
 ・イベントに参加する機会:25.8%(66.6%)

最近、東京都の新規陽性者がやや増加に転じていますが、この意識調査が行われた10月1〜3日は新規陽性者の減少が続いていた時期でした(東京都モニタリング会議資料)。にもかかわらず、他者との交流について正常化(増加)より自粛(抑制)を意識している人が倍以上という結果だったのです。

もちろん意識と実際の行動は別ですし、以前に比べれば自粛志向の意識が減退しつつあると思われますが(4月の前回調査の結果参照)、正常化より自粛を意識している人が依然として多いことが浮き彫りになりました。

ちなみに、コロナ禍の象徴的な「マスク着用」も、「気をつけている」が89.7%(反対は7.1%)、コロナ流行にかかわらず定着してほしいという考えに「あてはまる」が69.3%(反対は25.6%)に上っています。

コロナ禍が始まってまもなく3年。こうした人々の「意識」に小さくない影響を与えてきたのがメディアの報道・情報です。公開された情報なのに、ほとんど報道されない(皆無に等しいといってよい)重要な事実やデータがいくつもあります。今回は次の3つを取り上げます。

(1)致死率・重症化率の大幅な低下
(2)超過死亡の増加
(3)ワクチン健康被害認定件数の増加

それぞれ「公的機関等により公開されている情報」(オープンソース)なのですが、大変見つけにくいところに掲載されていたりします。そこで、どのようにすれば、その情報を確認できるかをまとめてお伝えします。ご関心のある方は、自分の目で元の資料をたどって確認してみてください。

(1)致死率・重症化率の大幅な低下

● 東京都の致死率は1.51%(2020/21年冬・第3波)から0.09%(2022年夏・第7波)に低下 
 東京都モニタリング会議(10月27日)添付資料11(p.3)より。
 同資料からは、年代別致死率の推移のほか、死因が新型コロナ以外の割合が約30%(第7波)、死者のうち「基礎疾患あり」の割合が約88%(p.8)といったデータも確認できる。

● 大阪府の重症化率は3.2%(第3波)から0.03%(第7波)に低下
 大阪府新型コロナ対策本部会議(10月11日)資料1-1(p.21)より。
 同資料は9月26日公表分までの集計をもとに、年代別重症化率、致死率の推移のほか、死者数に占める未接種者は15%程度(第7波)(p.25)、直接死因が新型コロナの割合が約53%(同)(p.26)といったデータも確認できる。

● 60代未満の重症化率と致死率は第6波の段階で季節性インフルエンザと同程度に低下
 厚生労働省アドバイザリーボード(7月13日)資料6より。政府が閣議決定した基本的対処方針(7月15日改定)にも反映されている。
 ただし、元は厚労省が4月に公開した、第6波(2022年冬)における3自治体のデータ。上記の東京、大阪のデータで第7波はさらに低下しているとみられる。

● 第7波では高齢者の致死率も季節性インフルエンザ並みに低下か
 神奈川県の発表データ(10月18日)によると、第7波における高齢者の致死率は60代が0.1%、70代が0.3%、80代が1%、90代が2.5%。インフルの致死率(60代以上で0.55%)に近い水準まで低下している可能性がある。
 [追記] なお、季節性インフルエンザの重症化率・致死率のデータは、厚労省アドバイザリーボード(3月2日)資料3−10参照のこと。

● 新型コロナの致死率が2年半で30分の1以下に
 横浜市立大学附属病院の研究グループが研究成果を発表(10月20日、記者発表資料)。

横浜市立大学の記者発表資料より

横浜市立大学の記者発表資料より

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