コロナ報道はこれだけ減少した “第9波”も急速に収束 370日超の行動制限は必要だったか
この夏も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が拡大しましたが(いわゆる「第9波」)、8月中旬にピークアウトして大幅に減少しました。
以下のグラフは、東京都の患者報告数の推移です。
東京都サイト(2023年10月19日公表)より
うすうす気づいている人も多いと思いますが、メディアのコロナ関連の報道はひと頃に比べて激減しました。ニュースポータルサイトで関連記事を目にすることもめっきり減りました。
実際に、NHKウェブ版の月別記事数の統計をたどると、報道量の傾向が読み取れます。
NHK特設サイトの記事数データに基づき、筆者作成
初の緊急事態宣言が実施され、政治家・専門家・メディアが一体となって「ステイホーム」を唱えていた2020年4月、NHKだけで、ひと月で400件超、1日平均で約150件のコロナ関連報道が流されていました(地方局ニュースを含む)。月間2000件前後という極めて膨大なコロナ報道の日常は、2022年9月まで続いていたのです。
それが同年10月を境に大きく減り、「5類移行」を経た現在は(地方局とあわせても)月間百件未満にまで激減していました。あくまで、NHK一局だけの話です。他のメディアは集計していませんが、おそらく同じような傾向でしょう。
10を超える全国規模の伝統メディアをはじめ、ネットメディアも、含め夥しい量のコロナ関連記事が配信され、ヤフーなどを通じて氾濫していたことは間違いありません。その状態が、少なくとも2年半は続いていたことになります。
報道量が減ったのは、感染者が減ったからではありません。むしろ、コロナ報道一色だった時期よりも感染者数は桁違いに多く、波の山の大きさも1〜2年目よりはるかに大きくなっています。にもかかわらず、行動制限措置はとられず、人々の「行動変容」に大きな影響を与えてきた報道もほとんど行われなくとも、やがてはピークアウトして収束に向かっていることになります。
2020年以来のコロナ禍全期間のNHK報道量、全国陽性者数のグラフ、行動制限措置が取られた時期をひとつの図にまとめてみました。
今回は、この図をベースに、コロナ禍の3年半をざっと振り返ってみたいと思います。
NHKコロナ記事の減少は2段階にわたって起きた
まず、一つ目のグラフは、大きく2020年1月〜2022年9月、同月10月〜2023年5月、同年6月から現在までの3つの時期に分けると、傾向がとらえやすくなります。それぞれ第1期、第2期、第3期と呼ぶことにします。
第1期の後、第2期の後にそれぞれ報道量がガクンと減っています。実際のデータは次のとおりです。
(この後の主な内容)
▽ NHK報道の推移の詳しい分析
▽ 第1波〜第9波の流行規模を振り返る
▽ 行動制限措置がなくても収束した第2波
▽ あるべき感染対策は科学が答えを出せるのか
▽ 370日超の行動制限措置は必要だったのか
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- 流行規模は回を追うごとに拡大
- 行動制限措置がなくても収束した第2波
- あるべき感染対策は科学が答えを出せるのか
- 370日超に及んだ行動制限措置は必要だったのか
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