中国人研究者が19年末にコロナ解析結果を米側に提供 WSJスクープを読む
最近は新型コロナのニュースがめっきり減りましたが、先週アメリカで、パンデミックの起源に関係する新事実が報じられたのをご存知でしょうか。
中国が武漢で確認された未知のウイルスの解析結果をWHOに提出するより2週間前、2019年12月28日に、中国の研究者が解析結果をアメリカ政府が管理するデータベースに提出していたことがわかった、というニュースです。最初にスクープしたウォール・ストリート・ジャーナルをはじめ、アメリカの主要メディアが大きく報じました。
この情報提供は、中国・武漢の当局が原因不明のウイルス性肺炎の発生を公式発表した12月31日より前。中国人研究者はアメリカと浅からぬ関係がありました。
なぜ今頃、アメリカでこのニュースが大きく報じられたのか。この新事実はいったい何を意味するのか。これまでにわかっている情報を整理し、読み解いてみます。
筆者作成
米主要メディアが相次いで報道
このニュースを最初に報じたのは、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)です。「中国の研究所が致死性コロナウイルスを北京政府が世界に公表する2週間前に解析。文書で判明」(Chinese Lab Mapped Deadly Coronavirus Two Weeks Before Beijing Told the World, Documents Show)というタイトルで、1月17日午後(日本時間の18日早朝)に配信されました(全文は有料)。
日本版では「中国、コロナウイルスを公表2週間前に解析していた」という見出しで配信されました(英文オリジナル版より情報量が割愛されたショートバージョンです)。
on.wsj.com/3SoHSkE
on.wsj.com/3SoHSkE 中国、コロナウイルスを公表2週間前に解析していた 中国の研究者が、新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスを2019年12月下旬に解析していたことが文書で示された。 on.wsj.com
今回の新事実は、アメリカの保健衛生省(HHS、日本での厚生労働省に相当)が、下院エネルギー・商業委員会の要求に応じて情報開示したことで明らかになりました。
WSJがいち早く情報を入手して報じたので「スクープ」(EXCLUSIVE)と表記されていますが、エネルギー・商業委員会が同日のプレスリリースで詳細を公表し、ワシントンポスト、USA TODAY、ニューヨークタイムズといった主要メディアが相次いで報じました。
日本で報じたのは日経新聞とテレビ朝日だけで、ほとんど注目されることはありませんでした。
nikkei.com/article/DGXZQO… コロナ遺伝情報、中国研究者が19年末に特定か 米議会委 【ニューヨーク=西邨紘子】中国国内の研究者が2019年末までに新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」を特定し、ゲノム www.nikkei.com
今回の記事では、WSJのスクープで報じられた主なファクトを中心に、以下の論点をまとめています。
▼WSJのスクープで報じられた5つの事実、報じられなかった1つの事実とは?
▼新型コロナは自然発生?研究所流出?アメリカの政府機関はこれまでどのような見解を示しているのか?
▼中国とアメリカは一体どういう関係にあるのか?
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