【独自】前橋地裁が時短命令違反の過料を却下決定 その司法判断の意義とは

まん延防止等重点措置の際に、特措法に基づく時短命令に従わなかった飲食店に「過料に処さない」との決定を前橋地方裁判所が出していたことが判明。この司法判断がもつ意味を解説する。
楊井人文 2023.04.22
サポートメンバー

昨年春のオミクロン株の流行で「まん延防止等重点措置」が発せられ、営業時間短縮(時短)要請に従わなかった飲食店に鹿児島県が発出した時短命令について、前橋地方裁判所が法律上の要件を満たさないと判断し、命令違反による過料に処さないとする決定を出していたことが判明しました。

これまでは、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」)に基づく時短命令を違法と判断する東京地裁の判決(昨年5月)が知られていましたが、時短命令を違法とした司法判断の2例目が明らかになったのは初めてとみられます。

この記事では、この司法判断がもつ意味について解説します。

(本編の主な内容)

▼前橋地裁決定の内容
 (スライド)時系列の整理、時短命令を違法とした2つの裁判例など
▼全国で乱発されていた特措法に基づく時短命令
 (独自のデータ)時短命令や過料通知の件数
▼司法判断の意義と課題
 (3つのポイントに整理)

筆者撮影(水野泰孝弁護士提供)

筆者撮影(水野泰孝弁護士提供)

***

『楊井人文のニュースの読み方』は、今話題の複雑な問題を「ファクト」に基づいて「法律」の観点を入れながら整理して「現段階で言えること」を、長年ファクトチェック活動の普及に取り組んできた弁護士の楊井がお届けしております。

今後も、独自の取材や調査・分析で入手した情報を、サポートメンバー限定でいち早くお伝えしたいと思っておりますので、ぜひご登録いただけますと幸いです(配信方針についてはこちら)。

なお、記事リンクのSNSシェアは歓迎しますが、本文の無断転載・無断公開はお控えくださいますようお願いします。

***

前橋地裁決定の内容

この前橋地裁決定の中身に触れる前に、前後の経緯を時系列で整理しておきましょう。

まず、次のスライドをご覧ください。

筆者作成

筆者作成

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、3141文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちらからログイン

Jアラート「ミサイル発射」は偽情報では?"大本営"発表に追随するメディ...
読者限定
パンデミック条約でワクチン強制は本当?それより警戒すべき条文とその理由...
読者限定
コロナ報道はこれだけ減少した “第9波”も急速に収束 370日超の行動...
読者限定
【ニュースウオッチ9問題】幹部の関与に大きな空白 NHK報告書に多数の...
サポートメンバー
【ニュースウオッチ9問題】BPOは真相解明できるか NHK報告書に多数...
サポートメンバー
19歳の心筋炎死亡例も被害認定 岸田首相の若者への呼びかけ後に接種か
サポートメンバー
厚労省に開示請求 2ヶ月かけて出てきた一枚の文書の中身
読者限定
【ニュースウオッチ9問題】ワクチン被害訴える遺族を取材した職員を出勤停...
読者限定