3月13日でマスク着用「任意」から「任意」に?報道では見えない本当の方針転換

マスク着用は「3月13日から個人の判断」という政府のメッセージやメディアの報道が繰り返されたが、最も重要な変更点がある。政府と一体化してきた報道ではわからない、その事実とは?
楊井人文 2023.03.13
読者限定

ここのところ連日のように、マスク着用について「3月13日から個人の判断」という報道が流れました。ところが、日本には「マスク着用義務」についての法律も罰則もない、ということはほとんどの方が知っていることだと思います。もともと義務ではなかったはずなのに、「3月13日から個人の判断」という政府の発表や報道に、頭の中で「はてなマーク」がついている人も少なくなかったのではないでしょうか。

結局「3月13日」で何も変わらないんじゃないの?変わるのだとしても、いったい何が変わったの?

ほとんどのメディアも、政府の発表をおうむ返しに報道しているだけなので、「3月13日」のもつ本当の意味、本質的に重要なファクトをきちんと報道していません。

以前も、政府が決めたマスク着用ルールの緩和プロセスについて詳しく解説しましたが、今回は、3月13日に何がどう変わったのかに絞って、改めて深掘り解説します。

(参考記事)

3月13日はいったい何が変わる日?

結論からいうと、3月13日とは「着脱は強制ではなく、最終的に個人の選択」という本当のことをあえて明言せず曖昧にしたまま着用の奨励を行ってきた従来方針を撤回し、この日をもって、本当のことを積極的に明言する方針に変更した日です。

要するに、今回の最も重要な変更は「本当のことを明言するかどうか」だといっても過言ではありません。

驚くかもしれませんが、それは、ある重要なファクトによって裏付けられます。そして、そのことは社会にとって非常に重たい意味をもっていたのです。

筆者作成

筆者作成

***

『楊井人文のニュースの読み方』は、今話題の複雑な問題を「ファクト」に基づいて「法律」の観点を入れながら整理して「現段階で言えること」を、長年ファクトチェック活動の普及に取り組んできた弁護士の楊井がお届けしております。

大手メディアが報じる内容やインフルエンサーの発言をうのみにせず、事実や法律に基づいた重要な論点を知っておきたい方に向けて、だいたい週1本以上のペースで執筆することを目指します。

今は無料の配信を行っておりますので、ぜひご登録ください(近いうちに有料化する方針ですが、改めてお知らせします)。

なお、閲覧者限定コンテンツの無断転載はお控えくださいますようお願いします。

***

この記事は無料で続きを読めます

続きは、6255文字あります。
  • 基本的対処方針の記述の変化をたどる
  • 原則不明示の「曖昧」戦略とその転換の社会的意味
  • マスクの有効性と日本的ルール運用は検証が必要

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

読者限定
共同通信の靖国参拝誤報は2年前なのに気づかなかった? 生稲議員の答えは...
読者限定
"与党過半数割れ"後のシナリオ 知っておきたい法律の基礎知識
サポートメンバー限定
総選挙“情勢”報道が外れる可能性があるこれだけの理由 3年前もこんなに...
サポートメンバー限定
ノーベル平和賞 在京6紙を読み比べ分析 総選挙への影響は
サポートメンバー限定
「衆院解散は首相の大権」は本当?9つのQ&Aでフカボリする
読者限定
米政権の検閲圧力に「はっきり意見述べず後悔」とメタCEO 表現の自由め...
読者限定
旧来の風邪を「5類感染症」に格上げへ 武見厚労相が明言
サポートメンバー限定
YouTube「誤情報」を理由に動画を次々に削除か 違反者向けトレーニ...