コロナワクチン健康被害補償 審査件数が大幅に増加

コロナワクチンの被害補償の認定件数は過去のインフルワクチンのそれを大きく上回っている。受理件数も大幅に増え、審査がパンク状態の可能性もあるが、こうした状況はほとんど報道されていない。
楊井人文 2022.07.26
誰でも

 新型コロナワクチンの副反応の健康被害について、接種後の死亡事例が初めて救済対象として認定されたことがわかり、ニュースになりました(NHKなど)。

 以前に一度、コロナワクチンの「被害補償」の実態についてお伝えしましたが、改めて現在の最新情報をまとめました。

【追記】このニュースレター発行後の更新情報は、こちらのページでご確認できます。

死亡一時金の支給を初めて認定

 まず、今回、救済対象として認定された死亡事例について簡単に整理しておきます。この件で公表されている情報は、以下の3点のみです(厚労省の資料)。

・91歳の女性
・新型コロナワクチン接種後に発症した病名は「急性アレルギー反応、急性心筋梗塞」
・基礎疾患および既往症は「脳虚血発作、高血圧症、心肥大」

 接種日や死亡日までの日数、ワクチンの種類、接種回数などは公表されていません。この方の死亡がワクチン接種によるものと認定された根拠も明らかにされていません。

 ちなみに、コロナワクチンの接種後死亡の報告件数は、次のようになっています(厚労省の7月8日審議会の資料=6月12日時点までの報告)。

・ファイザー製ワクチン:1,603件(100万回接種あたり7.4件)
・モデルナ製ワクチン:157件(100万回接種あたり2.4件)
(接種回数はファイザー製2億回以上、モデルナ製6千万回以上)

 このうち、遺族が健康被害の補償申請を行い、受理されると審査が行われ、今回のように認定されると、死亡一時金などの補償金が支払われるしくみです。

厚生労働省、<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_kenkouhigaikyuusai.html">予防接種健康被害救済制度</a>のページより
厚生労働省、予防接種健康被害救済制度のページより

 これまでに「死亡一時金」の補償を申請している人数は公表されておらず、不明です。

 ただ、公表されている情報を調べると、コロナワクチンに関する健康被害補償の認定件数は増加し続けており、審査件数も急増していることがわかります。

健康被害補償の認定件数は

 厚労省は、コロナワクチンに関する副反応疑いのデータ健康被害補償制度の仕組みについては告知していますが、実際にどの程度の健康被害が「認定」されているかを、一般国民にわかりやすい形で公表していません。
 これを調べるには、次の2つの審議会の資料を読み解かなければなりません。

 コロナワクチンに関する健康被害補償の審査は、件数が多いせいなのかわかりませんが、この2つの審議会が事実上“分担”しながら行っているようです。月に1、2回開催されています。

 これまでにコロナワクチンに関する審査結果が発表されたのは、2つの審議会あわせて16回あります。そのデータを独自に集計した結果が、以下の表とグラフになります。

(筆者作成)
(筆者作成)
(筆者作成)
(筆者作成)

 このデータから読み取れる情報を整理しておきます(以上の集計元データはこちらのファイルにまとめていますので、ご関心のある方はご覧ください)。

・受理件数は昨年12月までは800件弱だったが、今年に入って新規案件は3000件近く受理されている。
・審査済(認定または否認)が850件で、受理件数全体の4分の1程度(23%)にとどまる。今年2月までは、受理件数に占める審査済の割合が50%を超えていたが、受理件数の大幅増によって審査未了案件(グラフの緑色)が急増している。受理件数の急増により審査処理が追いついていない可能性がある。
・審査済のうち「否認」数の割合は、昨年12月の段階で1.5%(6件/406件)だったが、今年7月の累計値で6.8%(62件/912件)と上昇傾向にある。
・被害補償「認定」された850件のうち死亡事案は1件のみで、その他は全て「医療費・医療手当」で、その多くが入院治療費とみられるが、詳細は不明。認定された事案が疾病名しか公表されておらず、接種から発症までの日数、重症度、入院日数、支給金額などは不明。
これまでの被害補償「認定」850件のうち8割以上が女性である。また、40代以下が534件で、半数を超える。高齢層より若年層の方が多いことがわかる。
・公表されているのは「受理」件数であり、「申請」件数ではない(申請の受付は市町村で行われる)。全体の申請件数、不受理件数がどの程度あるのかといった実態は不明。「審査済」の内訳は上記で集計したとおりだが、「受理」件数の年齢別、性別、症例別の内訳などは不明。

 以上の健康被害認定データをみると「ワクチンによる健康被害のリスクは高齢者より若年者の方が高く、男性より女性の方が高い」という仮説が導かれると思います。このことは、副反応疑い報告データからもうかがわれる傾向です。もちろん厳密な科学的検証も待つ必要はありますが、およその傾向としては言えるのではないかと思われます。

インフルワクチンの被害補償件数を大きく上回る

 ところで、厚労省は過去の様々なワクチンによる健康被害の認定件数をとりまめています。
 公表されているのは、昭和52(1977)年から令和元(2019)年の総数です(予防接種健康被害救済制度 認定者数)。
 それによると、インフルエンザワクチンの健康被害の認定件数は、過去約40年間で177件でした。
 それに対して、新型コロナワクチンはこの1年だけですでに850件でまだ増え続けています。審査中が2700件ありますので、4桁台になるのは避けられないと思われます。

 以前は健康被害補償制度がきちんと周知されておらず、インフルワクチンの健康被害を申請する人が少なかった可能性もないわけではありません。それにしても、過去40年間で177件と、1年間で850件では、やはり無視できない違いがあるように思えます。

 だからといって、コロナワクチンは特別に危険であるとか打つべきではない、といったことを主張したいのでは当然ありません。ただ、以上のような情報も判断材料として加えておくべきではないかと思います。

 これらは、すべて公開されたデータなので調べればわかることなのですが、厚労省が積極的にわかりやすくまとめて公開していないため、報道もほとんどされてきませんでした。
 ワクチンの健康被害リスクについて少しでも触れると「反ワクチン」とラベリングをする風潮がありましたが、そろそろ冷静に検証していく時期に来ているように思えてなりません。

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