憲法世論調査で浮き彫りになった「総論反対・各論賛成」 各社の結果から最大公約数を読み解く④

改憲プロセスのハードルは非常に高いが、これまでの状況が一変する可能性がある。そのとき鍵を握ることになる憲法世論調査を分析すると「総論反対・各論賛成」という奇妙の現象が浮き彫りとなった。
楊井人文 2023.06.02
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これまで憲法世論調査について3回にわたり分析結果をお届けしてきました。これまでの分析内容を簡単に振り返っておきたいと思います。

1回目では、内容を問わずに憲法改正の賛否を質問した調査結果を分析しました。「岸田首相の在任中に」という条件をつけて質問した毎日新聞を除いて、6社すべてで改憲賛成派が反対派を大きく上回る結果でした。ただし、強い改憲賛成派は半数に及ばないことも読み取りました。

2回目は、9条改正の賛否について分析しました。読売と毎日の調査では、9条2項を維持して自衛隊を明記する案は過半数が賛成という結果でした。9条改正について多角的な質問をしていた読売の調査から、2項改正案よりも、2項を維持したまま自衛隊を明記する案の方が賛成が多くなることも浮き彫りとなりました。

3回目は、緊急事態条項について分析しました。緊急事態において任期延長を可能とする案は7割以上の賛成という驚くべき結果も出ていました。

シリーズ最終回は、憲法改正実現への期待度についての調査結果を分析します。分析を通じて「憲法改正に関しては総論反対・各論賛成があり得る「抽象的な改憲賛否の調査があてにならない」ことも浮き彫りにします。

また、最近の「野党への期待」に関する世論調査も踏まえ、「改憲勢力3分の2」に着目した的外れな報道とは異なる、より現実政治に即した「改憲見通し」について解説します。

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『楊井人文のニュースの読み方』は、今話題の複雑な問題を「ファクト」に基づいて「法律」の観点を入れながら整理して「現段階で言えること」を、長年ファクトチェック活動の普及に取り組んできた弁護士の楊井がお届けしております。

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